プロの園芸作業レポート8月
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2005.5(バラの剪定作業)
2005.6(梅雨時期の、生垣や庭木)
2005.7(観葉植物や庭木の整理)
2005.8(フラワーアレンジメントに適した刃物)
2005.9(夏&秋の高枝作業に適した刃物紹介)
2005.10(技能性を極めたプロ用・業務用の刃物紹介)

プロがアドバイス 8月の園芸作業
監修・西 良祐→プロフィールはこちらから

今回のテーマ 果樹の枝の手入れ
『果樹の枝の手入れ』

  高温乾燥の中で、生長が旺盛なウメ・モモなどの落葉果樹などでは枝葉の萎れを起こしているものがあり、思わず潅水でもしてやりたくなりますが、この時期の過保護は禁物です。
一見厳しい夏の環境ですが、果樹はこれが引き金となって種族保存の本能が目覚め花芽分化をしており、今が花芽分化の仕上げ時期に当っております。うっかり潅水・施肥などを行うと、バランスを崩して花芽分化を妨げたり、徒長を誘発することになります。特別な衰弱がなければ自然に任せておきましょう。

  特別な手入れはありませんが、出来れば行っておきたい作業に枝の誘引があります。
主要な枝を目的にあわせて配置するには、誘引が必要ですが樹液が旺盛に流れている春から夏にかけては、枝が軟らかく、もし傷つけても年内に癒合してくれます。
また、徒長している枝の場合には、枝を横あるいは下に曲げることによって、伸びを止めることができますし、時期が早ければ徒長枝を結果枝にすることすらできるのです。

  樹液は上に向かって(直立)しているものほど多く流れる性質があるので、横から下に向かうにつれて徒長が抑えられるのです。
逆に衰弱しかかっている枝などでは、支柱などで上に押し上げるようにしてやると元気を回復してくれます。

  写真(1)のように果実が大きく、ミカンのように枝先につくものでは枝垂れしたり、枝が折れたり裂けたりすることがありますので、ぜひ支柱をしてやりましょう。
果実の大きなものでは、その重みで枝が垂れて衰弱していることがありますが、そうした場合にも枝を上に向けてやることで、勢いを回復させることが出来ます。

  枝を触っていると、手が黒く汚れたりすることがあります。
そうした時には、スス病の被害が考えられますし、アリが動いている場合にはアブラムシ(アリマキ)やカイガラムシが寄生しているかも知れません。<「5月の園芸作業・植物の健康診断」参照>

  剪定・誘引などの作業は単なる作業ではなく、健康診断のチャンスでもあります。確り診てやりましょう。
葉の基部を観察すると、来春に開花する花芽ができているのを発見できるかも知れません。
また、木の部分ばかりでなく、少し離れて全体樹形を眺めてみるのも大切です。
結果の多い側に倒れていないか、枝の込み具合はどうか等を見極め、枝の軟らかいこの時期に誘引をしておきましょう。また、まれに新しい枝(夏枝)が伸び始めていることがあります。
こうした枝は無駄なものですし、親枝の衰弱につながりますので摘み取っておきましょう。
枝数の多い場合には、生育調整剤(ボンザイなど)を散布するのもひとつの方法でしょう。
その副産物として花芽分化を促進する効果もあります。

写真(1)枝垂れしたミカン 支柱を付けて枝を上向きに
スス病の葉(椿) カイガラムシ
スス病の葉(椿) カイガラムシ
夏枝  
夏枝
監修 西 良祐
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今回のテーマ 夏の剪定
『夏の剪定』

  夏の剪定は樹形作りではなく、徒長している上部の枝を「間引く」ことにより、採光や通風をよくして、下部や内部の枝の衰弱を防ぐのが目的です。

  冬季の本格的な剪定にあたっては、芽の状態を確実に理解・把握し、確りした葉芽の上で剪定しなければなりませんが、夏の剪定は「間引き剪定」ですから、混み合った所の貧弱な枝を間引けばよいので、あまり神経質に考える必要はありません。
ただ、この時期は花芽分化の時期ですから、強い刺激を与えないように控えめな剪定に留めることが必要です。
強い剪定をすると、花芽分化を妨げるだけでなく、かえって徒長を引き起こしてしまいます。

  モモの若木で間引き剪定を行ってみましょう。
写真(1)は全体樹形です。上部の枝が徒長して、まるで逆三角形のようになっています。
このままでは、下部の枝は十分な生育は期待できません。
上部の枝を茂らせるのは簡単ですが、下部の枝を衰弱させると、その回復を計るのは大変です。それでなくとも下枝を前後左右に確り広げ、円錐状の樹形に仕立てたいのです。
基本的な樹形としては、庭木仕立ての「模様木」にするので、主な枝は幹の曲がりの外側から伸び出させるようにし、湾曲した幹の内側から伸び出している枝は間引いておきます。
そうして骨格となる枝(主枝)、特に下部の枝に日光が差し込むように、繁茂している上部の枝を間引きます。

  間引く枝は上に向かっている「立ち枝」、下に垂れている「落ち枝」、
幹の方へ向かっている「逆枝」を外し、横に広がっている枝を大切にします。
但し、中程から下の枝の場合は、他の枝の邪魔をしない限り、「立ち枝」や「落ち枝」であっても残しておきましょう。枝(芽)の充実は葉の数に関係するからです。
剪定を始めると、ついつい強い剪定になりますので、「もう少し外したい」と思う状態で終了することが大切です。
特に上部の徒長している枝など、せめて芯を摘んでおきたくなりますが、却って徒長を引き起こすことが多いものです。
あくまでも「間引き」が目的で、樹形作りではありませんから。

  剪定をしていて気付くのですが、春に伸び出して現在は徒長が停止しているものと、春に伸び出したものの先端から新しく伸び出しているものがあります。
前者を春枝、後者を夏枝と呼びますが、春枝の葉の基部には花芽が付きやすく、後者は葉芽しかできませんし、枝そのものも充実から見ても好ましくありません。
栽培的に見ますと、春枝が多いものほど好ましく、鉢植えなどの場合は、潅水・肥料の過多を防ぐなどコントロールが必要となります。

写真1 剪定完了
写真1 剪定完了
「立ち枝」・「落ち枝」・「逆枝」  
「立ち枝」・「落ち枝」・「逆枝」
監修 西 良祐
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